魚の寄生虫が人間を助ける時代に

魚には、さまざまな寄生虫がついています。魚を観賞用として飼うのなら、あまり気にかける必要はないのですが、料理して食べようとする際は、先に取り除いておかないと、腹痛を起こさせたいう例も多く報告されているので注意が必要です。
マダイやメジナなどの口の中にはタイノエと呼ばれるフナムシに良く似た白い寄生虫が入っていて、釣り上げた釣り人を驚かせたりします。タイノエは漢字では「鯛の餌」と書き、口の中にいる様子がまるでタイが食べ残したエアのように見えたことに由来しています。でも、タイノエのほうがマダイのほうに寄生しているわけで、血を吸われたりして餌になっているのはマダイのほうのなのです。タイノエは大型のものと小型のものが一緒に二匹入っていることが多く、この二匹はオスとメスのケースが多いといわれています。フナムシほどの大きな寄生虫が魚の口の中に数匹いるので、初めて目にした人はたいていは驚きます。しかし、この寄生虫は無害であり、料理する際も、簡単に取り除くことができ、あまり気にする必要はありません。「仕入れの疑問!やりイカの釣り方は?さばき方と美味レシピも紹介」も要チェックですね。
一方、食べた後で腹痛を起こさせるようなやっかいな寄生虫としては、サバなどに主に寄生するアニサキスがいます。アニサキスは魚の身に寄生する線虫で、魚が刺身などで人に食べられると、生きたまま一緒に胃の中に入って、そこで胃の細胞を食い荒らして、食べた人に激痛を起こさせるのです。アニサキスによる胃の激痛は食中毒などと勘違いされやすく、市販の薬を飲んでみたりしても治らないので、医師を訪ねてきちんと診断してもらって適切な処置をしてもらうしかありません。じつは、アニサキスは煮魚にしようと魚に熱を加えてもある程度耐えることができ、酢で締めたりしても死ぬまでには至らず、胃酸にも耐えることができるなど、対応の難しい寄生虫です。小さいといっても目に見えるサイズであり、魚を捌く際には取り除くこともできます。しかし、完璧に取り除くにはかなり手間もかかるので、アニサキス害からの予防策としては、専門家も「よく噛んで、噛みつぶして食べれば大丈夫」などと、頼りない回答をします。最近、このアニサキスが医療の世界で注目されています。がん細胞を見つけてくれることがわかり、いかにして実用化していこうか研究されているのです。アニサキスと同じ仲間の線虫をがんに冒された細胞と正常な細胞の中に100匹程度入れておくと、がんに冒された細胞のほうへと集まっていき、これががん患者の尿と健常な人の尿でも同じように証明され、がんかどうかの診断に使うことができるというのです。その精度も95パーセント以上で、費用も数百円ということで、早期の実用化が待たれるところです。